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身内の不幸があって、『葬儀っていくらかかるんだろう』『お金のことを今考えていいのかな』と落ち着かない気持ちでいる方もいるはずです。このたびは、心よりお悔やみ申し上げます。
結論から言うと、身内の不幸で動くお金は「出ていくお金」「戻ってくるお金」「あとで整理するお金」の3つに分けると、ぐっと考えやすくなります。
いま急いで決めるのは「出ていくお金」だけです。この記事では、3つのお金それぞれで何をすればいいかを、順番にお伝えします。
身内の不幸のお金は「3つ」に分けると迷わない
身内の不幸のお金は、①葬儀などで出ていくお金、②健康保険や市区町村から戻ってくるお金、③相続のときにあとで整理するお金、の3つです。急ぐのは①だけで、②と③は葬儀が終わってから落ち着いて進めれば大丈夫です。
亡くなった直後は、やることが一度に押し寄せてきますよね。
お金の話も、葬儀の見積り、病院や施設の支払い、役所の手続きと、あちこちから出てきます。全部を同時に考えようとすると、それだけで疲れてしまいます。
だからこそ、最初に「これはどのお金か」を分けておくのがおすすめなんです。
| 分け方 | 主な中身 | いつ考えるか | 誰に聞くか |
|---|---|---|---|
| 出ていくお金 | 葬儀の基本費用、お寺などへのお礼、通夜振る舞いなどの飲食、返礼品 | 亡くなった当日から葬儀まで | 葬儀社、お寺(神社・教会) |
| 戻ってくるお金 | 埋葬料・家族埋葬料(会社員などの健康保険)、葬祭費(国民健康保険など)、未支給年金 | 葬儀が終わってから | 加入していた健康保険、市区町村、年金事務所 |
| あとで整理するお金 | 相続税を計算するときに差し引ける葬式費用 | 相続の手続きをするころ | 税務署、税理士 |

『でも、お金の話をするのは気が引ける…』と感じる方もいますよね。
その気持ちは自然です。ただ、お金のことをあいまいにしたまま進むと、あとで家族の間で行き違いが起きやすくなります。
例えば、こんなやりとりを早めにしておくだけでも違います。
「葬儀の支払いは、いったん誰が立て替える?」
「領収書は全部まとめて、私が預かっておくね」
亡くなった直後にやることの全体は、身内の不幸があったらやることで順番にまとめています。
出ていくお金:葬儀費用はどうやって決まる?
『葬儀の費用って、いくらと決まっているものなの?』と思う方も多いはずです。
実は、葬儀費用は一律の値段があるわけではありません。どんな形で送るか、何人くらい来るか、何を頼むかの組み合わせで決まっていきます。
同じ「家族葬」でも、日数や参列する人数、含まれる項目によって総額は変わります。金額の大小で比べる前に、見積書に何が入っているかを確かめるのが近道です。
葬儀費用の4つの区分
全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)は、葬儀の費用を次の4つに分けて説明しています。
| 区分 | 主な中身(全葬連の説明より) | 確かめておきたいこと |
|---|---|---|
| 葬儀基本費用 | 棺、骨壺、祭壇、遺影写真、霊柩車、火葬料など | プランに含まれる物と、別料金になる物 |
| 宗教者への謝礼 | お布施、戒名料、心付けなど | お寺などに直接お渡しするのか、葬儀社が間に入るのか |
| 飲食接待費 | 通夜振る舞い、精進落とし、会葬御礼など | 人数が増えたときの扱い |
| その他 | 返礼品、会場使用料、生花、案内状、礼状など | 数量で変わる物はどれか |
見積書を見るときは、この4つのどこに入る費用なのかを意識してみてください。
「プラン料金」と書かれていても、4つのうち一部しか入っていないことがあります。とくに宗教者への謝礼や飲食は、プランの外になっていることがある部分です。
葬儀の形で、かかる項目が変わる
葬儀の形によって、そもそも必要になる項目が変わります。全葬連の説明をもとに、それぞれの特徴をまとめると次のようになります。
| 葬儀の形 | どんな葬儀か(全葬連の説明より) | お金の面で変わりやすいところ |
|---|---|---|
| 一般葬 | 故人と関わりのあった人を広く招く伝統的な形。通夜、葬儀・告別式、火葬の順 | 参列者の人数によって飲食や返礼品が増える |
| 家族葬 | 親族や親しい友人など、限られた人だけで行う | 人数は少なめでも、式の中身はさまざま |
| 一日葬 | 通夜をせず、葬儀と告別式を1日で行う | 通夜にかかわる飲食などが不要になる |
| 直葬(火葬式) | 通夜や告別式をせず、火葬のみを行う | 式にかかわる項目がほとんどなくなる |
全葬連は、家族葬や一日葬は一般葬よりも費用や手間を抑えられるとされる形、直葬はもっとも費用を抑えられる形として紹介しています。
ただ、ここが大事なところです。「家族葬だから安い」とは限りません。
「家族葬だから安い」と思い込まないで
国民生活センターは2026年6月3日に、葬儀サービスの料金トラブルについて注意を呼びかけています。
全国の消費生活センターなどに寄せられる葬儀サービスの相談は、年間で900件前後あるそうです。寄せられた相談事例には、チラシやネット広告で見た価格で依頼したところ、見積りや最終的な請求が大きくふくらんだというものが並んでいます。
「家族葬」「一日葬」という言葉のイメージだけで決めてしまうことです。国民生活センターは、これらの言葉が指す範囲は葬儀社によって違うことがあると説明しています。参列者の人数、葬儀の日数、含まれる項目を具体的に確かめてから決めてみてください。
国民生活センターのアドバイスは、次の4つです。
- 葬儀の希望やイメージを考えて、前もって情報を集め、葬儀社へ事前相談しておく
- 葬儀社との打ち合わせは、親族や第三者など複数人で行う
- 見積書は受け取って、明細をよく確かめる
- 不安になったら、最寄りの消費生活センターや消費者ホットライン「188」に相談する
詳しくは国民生活センターの公表資料「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル」で読めます。
見積りは複数の葬儀社で比べてみる
全葬連は、葬儀社の選び方として、複数の葬儀社から見積もりを取ること、少なくとも3社から取るとよいことを挙げています。
『亡くなったばかりで、何社も回る余裕なんてない…』という方もいますよね。
そんな時は、電話や資料請求で比べられる窓口を使う方法があります。夜中や休日でも電話で相談できる葬儀社を知っておくと、急な時でも慌てずに見積りを比べられます。
「まだ決めていないのですが、家族だけで送る場合の見積りを出していただけますか」
こう伝えるだけで、相談の入り口としては十分ですよ。
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支払い方法と立て替えも決めておく
全葬連によると、葬儀費用の支払いは現金一括払いがもっとも多く、ほかにクレジットカード払いやローン、葬儀保険を使う方法もあるそうです。
カードやローンを使うときは、手数料や金利がかかることもあるので、契約前に確かめておきましょう。
誰がいったん立て替えるか、あとでどう分けるかを、葬儀の打ち合わせの前後で話しておくと安心です。領収書のあて名を誰にするかは、このあと出てくる葬祭費の申請にもかかわります。
戻ってくるお金:埋葬料と葬祭費は申請が必要
葬儀が終わって少し落ち着いたら、「戻ってくるお金」の番です。
ここで知っておいてほしいのは、亡くなった方が入っていた健康保険から、葬儀にかかわるお金が出ることです。ただし、自分で申請しないと受け取れません。
会社員などの健康保険(協会けんぽなど)に入っていた方なら埋葬料、国民健康保険などに入っていた方なら葬祭費です。両方を受け取るものではないので、まずは亡くなった方の保険証を確かめてみてください。
会社員などの健康保険:埋葬料・家族埋葬料(協会けんぽ)
全国健康保険協会(協会けんぽ)の案内では、加入者が業務外の事由で亡くなった場合に、次のお金が出ます。
| 亡くなった方 | 申請する人 | 支給されるもの(協会けんぽの案内より) |
|---|---|---|
| 被保険者(加入者本人) | 被保険者に生計を維持されていた方 | 埋葬料 50,000円 |
| 被保険者(加入者本人) | 生計維持関係にない、埋葬を行った方(埋葬料を申請できる方がいない場合のみ) | 埋葬費 50,000円の範囲内で、実際に埋葬にかかった費用 |
| 被扶養者(扶養されていた家族) | 被保険者 | 家族埋葬料 50,000円 |
「生計を維持されていた方」は、生活費の一部でも維持されていればよく、民法上の親族や遺族であるかは問われないと協会けんぽは説明しています。
埋葬費の「実際にかかった費用」には、霊柩車代、火葬料、僧侶の謝礼などの実費が含まれます。
会社を辞めて資格がなくなったあとでも、資格喪失後3か月以内に亡くなった時などは、埋葬料(費)が出る場合があります。条件があるので、協会けんぽに確かめてみてください。
申請は、協会けんぽの「健康保険埋葬料(費)支給申請書」で行います。申請の期限は、協会けんぽの資料では2年で時効とされています。
健康保険組合や共済組合に入っていた場合は、独自の上乗せがあるなど、額が違うことがあります。勤め先の総務か、保険証に書かれた保険者に聞いてみましょう。
詳しくは協会けんぽの「埋葬料・埋葬費」のページで確かめられます。
国民健康保険など:葬祭費(市区町村)
国民健康保険に入っていた方が亡くなった時は、市区町村から葬祭費が出ます。
国民健康保険法58条で、葬祭費は「条例又は規約の定めるところにより」支給すると定められています。つまり、額は市区町村ごとに決まっていて、全国一律ではないんです。
例えば、それぞれの自治体の公式ページでは次のように案内されています。
| 自治体(例) | 葬祭費の額 | 申請する人・期限など |
|---|---|---|
| 東京都新宿区(0〜74歳の国保加入者) | 7万円 | 葬祭を行った方(領収書のあて名の方)が申請 |
| 東京都世田谷区 | 7万円(1人あたり) | 葬祭執行人(葬儀代金の領収書の宛名の方)。葬儀を行った日の翌日から2年で時効 |
| 神奈川県横浜市 | 5万円 | 亡くなった方が住んでいた区の区役所保険年金課へ。葬祭を行ってから2年で時効 |
上の表は、あくまで3つの自治体の例です。お住まいの市区町村の額や窓口は、役所の国民健康保険の担当に確かめてみてください。
新宿区の案内では、75歳以上の方(後期高齢者医療)は別の窓口になっています。亡くなった方の年齢と保険証の種類を確かめてから問い合わせると、話が早く進みますよ。
葬祭費は、葬儀の領収書のあて名の方が申請者になる自治体があります。誰が喪主として支払うのか、領収書のあて名を誰にするかを、葬儀社との打ち合わせの時に決めておきましょう。
世田谷区の案内では、職場の健康保険から国民健康保険に移って3か月以内に亡くなった場合、前の健康保険から葬祭費や埋葬料が出る場合があるとも書かれています。退職して間もない方の場合は、両方の窓口に聞いてみてください。
年金を受けていた方なら:未支給年金
亡くなった方が年金を受けていた場合も、確かめておきたいお金があります。
日本年金機構の案内では、まだ受け取っていない年金や、亡くなった月分までの年金は「未支給年金」として、生計を同じくしていた遺族が受け取れます。
| 受け取れる順位(日本年金機構の案内より) | 続柄 |
|---|---|
| 1 | 配偶者 |
| 2 | 子 |
| 3 | 父母 |
| 4 | 孫 |
| 5 | 祖父母 |
| 6 | 兄弟姉妹 |
| 7 | 上記以外の3親等内の親族 |
請求には「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を使います。遺族年金は条件によって受け取れるかが変わるので、年金事務所に確かめてみてください。
あとで整理するお金:相続税の葬式費用と領収書
3つ目は、相続の手続きの時に関係するお金です。
相続税がかかるかどうかは、家によって違います。ただ、かかる場合に備えて、葬儀の領収書や明細を残しておくと、あとで困りません。
国税庁は、相続税を計算する時に、一定の相続人などが負担した葬式費用を遺産の総額から差し引けると案内しています。どの費用が当てはまるかを判断するのはあとで大丈夫なので、まずは捨てずにまとめておきましょう。
国税庁のタックスアンサー「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」では、次のように分けて説明されています。
- 火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
- 遺体や遺骨の回送にかかった費用
- お通夜など、通常葬式に欠かせない費用
- お寺などへの読経料などのお礼
- 香典返しのためにかかった費用
- 墓石や墓地の買入れ、墓地を借りるための費用
- 初七日など法事のためにかかった費用
- (上の3つ以外は個別に確かめる)
お寺へのお礼のように、領収書が出にくいものもありますよね。
そういう時は、渡した日、渡した相手、名目をメモに残しておくと、あとで整理しやすくなります。
個別の費用が当てはまるかどうかは、自分で決めつけずに、税務署か税理士に聞いてみてください。詳しくは国税庁の「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」で確かめられます。
- 葬儀社の見積書と請求書、領収書
- 火葬場や式場に払った分の領収書
- お寺などへのお礼を渡した日と名目のメモ
- 飲食や返礼品の明細
- 立て替えた人と金額が分かるメモ
身内の不幸とお金で、よくある相談
身内の不幸とお金のことでは、葬儀費用そのもの以外にも、細かな悩みがよく聞かれます。ここでは3つの相談を取り上げます。
結婚式を欠席することになった。ご祝儀はどうする?
身内の不幸と友人の結婚式が重なり、欠席することになったという相談です。欠席の時のご祝儀をどうすればいいか、悩む方は多いですよね。
結論から言うと、ご祝儀の扱いに決まったルールはありません。相手との関係や、式の準備がどこまで進んでいるかで考えて大丈夫です。
まずは、分かった時点で早めに欠席を伝えることを優先してみてください。お祝いの席なので、理由は詳しく言わずに伝える方法もあります。
「せっかくお招きいただいたのに、急な事情で出席できなくなってしまいました。本当にごめんなさい。落ち着いたら、改めてお祝いさせてください」
忌引きの書類を出してと言われた。何を出せばいい?
会社を休んだあと、忌引き休暇の書類を出すよう言われたという相談です。どんな書類が必要なのか、不安になりますよね。
これは会社によって違うので、総務や人事に「何を出せばいいですか」と聞くのが一番早いです。忌引き休暇の日数や、休みの間のお給料の扱いも、会社の就業規則で決まります。
休みの取り方と就業規則の見方は、身内の不幸で仕事を休む時|忌引き休暇で詳しくまとめています。
会社から香典や供花が出ることはある?
身内の不幸を会社に伝えたら、会社から葬儀社に連絡があるのか、何か届くのかという相談もあります。
会社によっては、慶弔の決まりで香典や供花、弔電を出しているところがあります。何が出るかは会社ごとなので、気になる時は総務に聞いてみてください。
「家族葬なので、会社からのお気持ちは辞退したい」という場合は、そのことを上司や総務に伝えておくと行き違いが起きにくくなります。誰にどう知らせるかは、身内の不幸の連絡|誰に・いつ・どの順番で知らせるかも参考にしてみてください。
お金で慌てないための時間軸
最後に、3つのお金をいつ、どの順番で進めればいいかを時間軸で見ておきましょう。
- 亡くなった当日から葬儀まで:葬儀社に相談し、見積書を受け取って中身を確かめる
- 葬儀の打ち合わせ:支払う人と領収書のあて名、立て替えの分け方を家族で決める
- 葬儀のあと:領収書や明細を一つの封筒にまとめる
- 落ち着いたら:埋葬料(協会けんぽなど)か葬祭費(市区町村)を申請する
- 年金を受けていた方なら:年金事務所で未支給年金の請求をする
- 相続の手続きのころ:残しておいた領収書をもとに、葬式費用を整理する

| 時期 | お金のこと | 窓口 |
|---|---|---|
| 当日から葬儀まで | 見積りを取る、支払い方法を決める | 葬儀社 |
| 葬儀のあと | 領収書をまとめる | 家族の中で |
| 2年以内 | 埋葬料・葬祭費の申請(協会けんぽの資料や自治体の案内では2年で時効) | 加入していた健康保険、市区町村 |
| 相続の手続きのころ | 葬式費用の整理 | 税務署、税理士 |
申請の期限は2年とされているので、葬儀の直後に焦る必要はありません。
ただ、時間がたつと書類がどこにあるか分からなくなりがちです。葬儀が終わった週のうちに、領収書をひとまとめにしておくだけでも、ずいぶん楽になりますよ。

よくある質問
葬儀費用は、亡くなった方の預金から払えますか?
家族の状況や手続きによって違うため、この記事では扱っていません。立て替える人を決めておき、領収書をまとめておくと、あとで整理しやすくなります。迷う時は金融機関や専門家に相談してみてください。
埋葬料と葬祭費は、両方もらえますか?
どちらになるかは、亡くなった方が入っていた健康保険で決まります。会社員などの健康保険なら埋葬料、国民健康保険などなら葬祭費です。両方を受け取るものではありません。
葬祭費の額は、どこでも同じですか?
同じではありません。国民健康保険法58条で、条例などで定めるとされているため、市区町村ごとに違います。例えば新宿区と世田谷区は7万円、横浜市は5万円と各公式ページで案内されています。
申請はいつまでにすればいいですか?
協会けんぽの資料や自治体の案内では、2年で時効とされています。期限の数え方は窓口によって書き方が違うので、申請書や公式の案内で確かめてみてください。
お布施はいくら包めばいいですか?
地域や宗派、お寺とのお付き合いによって違うため、決まった額はありません。お寺に直接たずねるか、葬儀社に地域の慣習を聞いてみてください。
まとめ
- 身内の不幸のお金は「出ていく・戻ってくる・あとで整理する」の3つに分ける
- 葬儀費用は形と中身の組み合わせで決まる。見積書の明細を確かめ、複数の葬儀社で比べる
- 会社員などの健康保険なら埋葬料、国民健康保険などなら葬祭費。どちらも申請が必要
- 葬祭費の額は市区町村ごとに違う。領収書のあて名が申請者になる自治体もある
- 領収書と明細は全部残す。相続税の葬式費用の整理に使える





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